2025 年がバックミラーの向こうへと去りゆく中、私は(当然のように)コーヒーを片手に腰を下ろし、この 1 年に起きた目まぐるしい出来事を整理しようとしています。今年を表す言葉を 1 つ選ぶとしたら、それは 加速(acceleration) でしょう。
業界全体が急激に進化を遂げただけでなく、私自身の個人としての歩みも、プロフェッショナルとしての速度も、予想をはるかに超える勢いでギアが上がりました。Google への入社から、AI 時代におけるエンジニアのあり方の再定義まで、2025 年はまさに根本的な「リファクタリング(refactoring)」の 1 年でした。
Google での新たなチャプター#
4 月、私は Google の Developer Relations チームに加わりました。何十年も抱き続けてきた夢でしたが、現実は期待以上に素晴らしいものでした。もちろん、めまぐるしい日々ではありました。イギリスやヨーロッパ中を巡り、故郷ブラジル の開発者コミュニティと再会する時間も作ることができました。
しかし、移動した物理的な距離以上に大きかったのは、知的な探求の旅でした。私は Google Cloud エコシステムへ真っ先に飛び込み、Vertex AI、MCP、そして Agent Development Kit (ADK) に深く没頭し、実際に手を動かしながら実践経験を重ねました。それはまるでソフトウェアの未来を一気に駆け抜ける集中講座のようで、その一瞬一瞬が本当に刺激的で楽しい時間でした。
バイブコーディングの年#
2024 年が AI と「遊ぶ」年だったとすれば、2025 年はそれを 本格的に受け入れる(embrace する) 年でした。私は懐疑派から、バイブコーディング(vibe coding) の熱烈なエバンジェリストへと転身しました。ただし、皆さんが思い浮かべる あの バイブコーディングではありません。
「コードの存在すら忘れてしまう」のは罠だと気づいたからです。むしろ、エンジニアリングの規律 — 明確な要件定義、コンテキスト管理、厳格なテスト — こそがこれまで以上に 不可欠 であると学びました。だからこそ私は、ひと味違ったバイブコーディング、すなわち「規律あるバイブコーディング」を提唱しています。「バイブコーディングなんていう俗語を使うべきではない」と主張する人もいるかもしれませんが、仕方ありません。この言葉、あまりにキャッチーなのですから!
さらに私は、開発者が「パイロット」として舵を取り、Gemini CLI や Jules といった AI エージェント部隊を指揮する モダンな開発者ワークフロー を確立しました。
このシフトは単なる思想にとどまらず、極めて実践的なものでした。自分自身の課題を解決するために、まったく新しいツールをいくつも「バイブコーディング」しました:
- GoDoctor: AI にイディオマティックで高品質な Go コードの書き方を教える MCP サーバー。
- Speedgrapher: テクニカルライティングにおける退屈な定型作業を自動化するツールキット。
- AIDA: 『スタートレック』の宇宙船コンピューターという夢を具現化した、自然言語で対話できるシステム診断エージェント。
Hello, MCP world!#
ツールといえば、2025 年は Model Context Protocol (MCP) がすべてを一変させた年でした。これを AI における「USB-C モーメント」と呼ぶ人もいますが、私に言わせれば「AI にとっての HTTP/REST」です。私たちは過去 20 年間にわたり、システムをプログラムから呼び出せるようにするための自動化を築き上げてきました。そしてエンジニアリングの次なるサイクルは、既存のシステムを改修し、エージェントから自律的に呼び出せる(agentic)新たなシステムを構築することです。ついに、AI モデルを現実世界と接続するための標準プロトコルを手に入れたのです。
私はこの技術に大きく賭け、GopherCon UK での基調講演 に登壇し、自作サーバーの構築方法について精力的に記事を執筆しました。コミュニティがこの標準規格を中心に急速に結束していく様子を目の当たりにし、自分の確信が正しかったと強く実感しました。私たちはもはや単にチャットボットとおしゃべりしているだけではありません。自律的にアクションを 実行する システムを構築しているのです。
個人的なリファクタリング#
コードとカンファレンスに明け暮れるだけではありませんでした。自分自身の「物理ハードウェア」をリファクタリングする時間もしっかり確保しました。嬉しいことに、今年は 20 kg 以上 の減量を達成できたのです!大人になって以来、今が間違いなく人生最高のコンディションです。大好きな仕事に打ち込める恵まれた環境に身を置くことこそが、何よりの健康法なのだと実感しています。
また、「時間」という概念そのものについても深く思索を巡らせました。なぜ年齢を重ねると時間が加速するように感じるのか(体感時間の数理モデル) に関する探求記事は、読者の皆さんから大きな反響をいただきました。シャワーを浴びているときのふとした思いつきを AI で掘り下げてみたのがきっかけでした。「AI は人間の創造性を損なう」という意見も耳にしますが、私自身は、普段なら時間や気力、根気が足りなくて深掘りできないようなアイデアや思考実験を AI と一緒に探求するのが大好きです。私にとって AI の真の力とは、「一人では決して手をつけなかったであろうこと」を実現可能にしてくれる点にあります(残念ながら皿洗いはまだやってくれませんが、アニメ風のロボットメイドが発売されたら真っ先に並んで買うつもりです!)。
2026 年に向けて#
さて、次はどこへ向かうのでしょうか?
2025 年が 導入(adoption) — 各種ツールを学び、日々のワークフローへ組み込む — の 1 年だったとすれば、2026 年は カイゼン(改善 / kaizen) の年になると確信しています。これらのツールがどう振る舞い、何が有効で何がそうでないのか、学ぶべきことはまだまだ山ほどあります。私たちはエンジニアコミュニティ全体で実験を繰り返し、新しい試みに挑戦し、そのプロセスと知見をドキュメントに残してきました。今こそ、そうしたすべての学びを集約し、単なるコード生成から生活をより豊かにする完全自律型エージェントに至るまで、この技術を活用する成熟度を一段上のステージへと引き上げる時です。
さらに私は、パーソナライズされたソフトウェア(Personalized Software) の領域を一段と深く掘り下げていく予定です。自分専用の特注ツールを作るための参入障壁は、完全に崩壊しました。何か課題に直面したとき、「既存のアプリを探す」のではなく「自分で作ってしまう」時代が到来したのです。Speedgrapher のように自分のニーズに完璧に合わせたツールをさらに生み出すと同時に、皆さんが同じように自作できるようノウハウを発信し、この最前線を開拓し続けたいと考えています。
また、眠っていたゲーム開発者としての情熱を解き放ち、少なくとも 1 回は Game Jam に参加したいと思っています。今年は挑戦してみたものの、仕事の立ち上げやキャッチアップに追われてゲームを完成させることができませんでした。今はずいぶん足場が固まって落ち着いてきたので、少し背伸びをすれば、1 本か 2 本のゲームを世に送り出せるはずです。
この素晴らしい旅を一緒に歩んでくださり、心から感謝しています。ブログ記事を読んでくださった方、講演を見てくださった方、一緒にバイブコーディングを楽しんでくださった皆さん — 本当にありがとうございました!
新たなバイブス、洗練されたコード、そしてもっとたくさんの猫の写真にあふれた 2026 年を楽しみにしています。 o/
Dani =^.^=




